2017/03/27

思考の整理術/外山 滋比古



かための文章のターン。
意外にも面白かったです。
思考の整理術事態は今はそんなに使わなそうですが、一番面白いと思ったのは芸術における個性についての考え方です。
個性はいわゆる「触媒」。Aという物質とBという物質を用いてABという化合物を作り出すことを創作活動とするならば、個性は化合物には含まれないが、AとBを化合するのにはかかせない存在的な。
例えば悲しみとそれを乗り越える術を表現する際に、「悲しみはこういうものでこうこうして乗り越えていく!」と直接的に語るのではなくて、「雨が降って虹がかかる」みたいにすでにあるものに自分の思いを託して並べる。このもの事態に個性があらわれるんじゃなくて、ものの選び方とつなげ方に個性が現れる。ということですかね。
最近の若い人の歌詞とかを見て、なんかださいな~とかセンスないな~と感じてしまう理由がわかった気がしました。(私は何様なんでしょう??)
そう考えると俳句とか、生け花とか、想いを別のものに託すのって日本人は得意なのでは?
その関連でこのCMとても好きです。

スポンサーサイト
2017/03/08

よるのふくらみ/窪 美澄



同じ商店街で幼なじみとして育ったみひろと、圭祐、裕太の兄弟。圭祐と同棲しているみひろは、長い間セックスがないことに悩み、そんな自分に嫌悪感を抱いていた。みひろに惹かれている弟の裕太は、二人がうまくいっていないことに感づいていたが――。抑えきれない衝動、忘れられない記憶、断ち切れない恋情。交錯する三人の想いと、熱を孕んだ欲望とが溶け合う、究極の恋愛小説。

やっとレビュー書けます。あ、ネタバレ注意です。
本の帯に西加奈子さんの名前があったので買ってみました。「よるのふくらみ」っていうタイトルにもなんとなくひかれたし。
率直に言うと、僕はそんなに…でした。
西加奈子さんの「さくら」を読んだ直後だったからかもしれません。タイトルとか題材的にもっとえげつない感じかと思ったんですが、「よくある」感じがしてしまいました。
「女性の性欲」もあんまりないようでよくあるし、兄弟で一人の女性を取り合うのもよくあるし、しっかり者の兄(カッコいいけどなんか硬い)とお調子者の弟(ドキドキしないけど素でいられる)というのもよくあるし。かといって「おおすごい」という文章もあまり無かったし。
自分の息子同士が近所の女の子を取り合って、一度兄と子供作って流産までしたのに、今度弟の方と結婚、子供を作ったっていうのに素直に喜んでいる母親もどうかと思うし、当の兄弟と女の子もどうかと思うし。もちろんそれが設定として駄目とは思わないんです。でも結構えげつないので、もっとえげつなーく書いてほしかったんです。もっとその流れが納得するくらいエログロに。兄の方とセックスできないからといって、わざわざ弟を選んでしまう程に女の子は弟に狂っているようには見えませんでした。なんか成人向け漫画(エロじゃなくて)とかドラマとかでいいような気がしてしまう。
ちなみに僕は弟みたいなタイプ、嫌いです。空気よめないし自由にやってるくせに真面目にやっている兄に勝手に劣等感抱いて、しかも結局選ばれるのは面白味のある自分っていう…。この作品に限らず、真面目タイプは結局闇落ちしてお調子者タイプがハッピーエンドなんだよな~真面目な方がよっぽど努力しているっていうのに…。
2017/02/27

スマホから初投稿

スマホから初投稿してみました。
最近忙しくて本も読めないし絵も描けないしブログも書けませんがもう少ししたら一段落着きそうです。「よるのふくらみ」読み終わりそうなのでそろそろレビュー書けるかと思います。
っていう感じの、さも読者がいっぱいいて更新停滞しててごめんね、みたいなのやってみたかったので今やってます。中々様になっているんじゃないでしょうか。
2017/02/11

染まるよ/チャットモンチー


煙草の匂い、皆が言うほど嫌いじゃないです。っていうか結構好きです。煙草にまつわる歌シリーズでもやろうかな。

この歌はなんといっても出だしの歌詞がたまらんです。「歩き慣れてない夜道をふらりと歩きたくなって蛍光灯に照らされたらここだけ無理してるみたいだ」「大人だから一度くらい煙草を吸ってみたくなって月明かりに照らされたら悪い事してるみたいだ」

やるせない気持ちの時に夜道を歩くのはまあわかるんです。でも「ここだけ無理してるみたいだ」「悪いことしてるみたいだ」ってすごい表現だと思うんです。言葉自体は可愛いのに、何とも言えない微妙な感情を表現している。とぼとぼ夜道を歩いているのだけでも十分絵になるのに、投げやりになって、ちょっとすさんだことをしているが、それが無理矢理やっていることに自分が気づいているというのは、なんだかとてもリアルでヒリヒリします。

他の歌詞も「ぷかぷかぷか」とか、結構可愛い言葉が使われているのに、「でも もういらない」(ここのメロディも好き)とかいちいち心に刺さる。シンプルな言葉だから余計に刺さる。

可愛らしい言葉遣いなのに大人の雰囲気を感じる不思議な歌です。
2017/02/05

さくら/西加奈子



26万部突破のロングセラー、文庫化両親、三兄弟の家族に、見つけてきたときに尻尾に桜の花びらをつけていたことから「サクラ」となづけられた犬が一匹。どこにでもいそうな家族に、大きな出来事が起こる。そして一家の愛犬・サクラが倒れた--。

これは泣いてしまいましたね。普段作品をみて泣くことはあまりないんですが。
以前窓の魚を読んで、別の作品を読んでみたいと思いなんとなく手に取りました。窓の魚を読んだ後にいろいろ調べたんですけど、窓の魚の方がこの作者にとっては珍しい作風だったようで、同じような雰囲気ではないことを覚悟して読みました。確かに窓の魚みたいに謎が多く残る感じではなかったのですが、人間の感情のえげつない部分を切り取るような核は同じでしたね。

表現が素晴らしいと思いました。抜粋したい文章がありすぎてきりがありません。ほんと一例に過ぎないんですけど、「くっ。というくぐもった声がしたから、父さんが笑っているのかと思ったけど、そちらから流れてくる風がほんのちょっぴり震えていたから、僕は目をつむったままでいた。」とか。つまり父親が泣いてるのを察知して知らないふりをした、ということなのですが。こういう感じのすげえ表現が多々あります。
なんというか、使われている言葉自体は難しくないし、言っていることはわかるのに、「はっ」とさせられる表現はすごいと思う。チャットモンチーの歌詞に、「あなたを乗せてやってくる夜行バス ピンク色に見えました」ってのがあるんですけど、こういうのにはっとする。脳内で言葉にすることはないけれど、私達が確実に感じたことがあるような感情を端的に表現されると本当にはっとする。

最後の方でミキが泣きながら長々と話すところと、私達がキャッチャーではなくてピッチャーだったと判明?するところで泣きました。作者のあとがきにも。